「自然と生体に学ぶバイオミミクリー」 その2

山陽製紙(株)の経営ビジョンに影響を与えた「自然と生体に学ぶバイオミミクリー」を紹介する第2回。
「自然と生体に学ぶバイオミミクリー」 その1 はこちら

「自然と生体に学ぶバイオミミクリー」書影
自然と生体に学ぶバイオミミクリー
ISBN 978-4-274-50065-7
Benyus, Janine M(著), 吉野 美耶子(訳), 山本 良一(監訳),
発行:オーム社

この本の中表紙には、「バイオミミクリーとは?」として、次の3つのことが書かれています。

1.自然界をモデルにする
バイオミミクリーは、自然界のモデルを研究し、そのデザインとプロセスを模倣したり、そこからインスピレーションを得て、たとえば木の葉をモデルにした太陽電池をつくりだし、人間界の諸問題を解決する新しい科学である。

「自然界のモデルからインスピレーションを得て、木の葉をモデルにした太陽電池」???
どういうことなのだろう、と思いつつ、木の葉→光合成→太陽光を吸収する→太陽電池→太陽光発電と連想がつながり、最後は再生可能エネルギー!にたどり着きました。
山陽製紙は2019年12月に再生可能エネルギーの100%利用を促進する新たな枠組み「再エネ100宣言 RE Action」に参加。アクションプランの第一弾として、これまで工場での長野県 水芭蕉水力発電所の再エネ(FIT電気)に加え、2020年4月から本社オフィスも非化石証書を組み合わせた再エネ100%の電力に切り替えました。
2050年までにすべての使用電力を、太陽光発電など再生可能エネルギーへの切り替えを目指しています。

「バイオミミクリーは・・・人間界の諸問題を解決する新しい科学である。」 
まさしく!

さらに、
2.自然界を評価基準にする
バイオミミクリーは、生態学的な基準に照らして、人間界の発明工夫が「適正」かどうかを判断する。三十八億年にわたる生命進化によって、自然は「なにが上手くいくか、なにが適切か、なにが持続するか」を知りつくしている。

「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」というIPCCの発表を前に、「自然界を評価基準にする」という言葉は重く響きます。

もっと豊かになりたい、もっと便利になりたい、もっと快適に暮らしたいということばかりを優先させる人間の暮らし方は、自然界の評価基準に照らして決して受け容れられるものではないということは分かります。

新しい地質時代の名称として「人新世」という言葉が提案されているけれど、地球の歴史で、私達人類はどのような痕跡を残すのでしょうか。

3.自然をよき師(メンター)とする
バイオミミクリーは、自然を新たな視座からながめ、それを尊重する方法である。自然界から何を搾りとるかではなく、なにを学ぶことができるかを重視する時代を開く先達である。

産業革命以降「自然界から何を搾りとるか」と言うことばかり考えてきた人類は、200年という歳月を経て、何と自然から遠ざかった生活をしているのかと気づかされます。
今さら「自然をよきメンターとする」なんて、と思いつつ、昔と変わらず自然と会話をし、遊びながら様々な発見をすることができる子どもたちなら、それは可能かも知れません。
火星に行くことよりも、自然をよきメンターとし、自然界の評価基準に従い、自然界をモデルにしながら暮らす努力をすることの方が、はるかに大切なことなのだと、この本は伝えているような気がします。

この記事を書いたひと

原田千秋
原田千秋山陽製紙株式会社 専務取締役
広島県呉市出身

広島大学教育学部卒業後、同じ大学のマンドリンクラブで同期だった原田六次郎氏(現:山陽製紙株式会社 代表取締役社長)と結婚。
中学校の教員を経て、1992年、経理等を担当するため山陽製紙の社員となる。
瀬戸内海の島育ちにも関わらず、水泳もできない運動音痴。
耳元に広がる波の音や、山が黄金色に染まるみかん畑などが心の原風景。
山陽製紙(株)の経営ビジョン「地球の財産を生かし、自然と共に生きる永続企業」もその様な原風景が背景にある。