Made in Japanの靴下

“Made in Japan”

このことに日本人は「誇り」を持っています。
“Made in Japan”は、品質の良さの代名詞だから。多くの人はタグに“Made in Japan”とあると、安心します。

その安心感の源となる「ものづくり」とはどのようなものなのか。その神髄を奈良にあるタビオの「靴下製造工場」と「加工仕上げ工場」で見てきました。

最近は、「存在感失う残念な20年 科学技術立国日本のいま」などという見出しが躍ったり、すっかり自信を失っているように見える日本の「ものづくり」。

“Made in Japan”の本質は、そんなこととは別のところにあるのだ、ということに気づいた工場見学でした。

追求された履き心地と品質

タビオのコーポレートサイトタビオ株式会社 -Tabio(タビオ)のトップには、靴下の編み機が動く様子が一番に出てきます。
手編みの原理がそのまま機械に移されていて、一足ずつ丁寧に編み上がっていきます。

指先にあたる部分の編み目の数も、かかとの部分の編み目の数も、足首を包むリブ編みの目の数も、一つ一つが気持ちよく履けるように計算されています。

そして、靴下の形になるまで、人の手による幾つもの工程があり、工程の最後では、光の棒に履かせた靴下を一足一足丁寧にチェックします。素人目には分からない糸飛も、光の中に浮かび上がってきてベテランのスタッフは見逃しません。

靴下工場最終工程
光の棒に履かせた靴下を丁寧にチェック

驚いたのは、「加工仕上げ」専門の工場があること。
つまり、出来上がった靴下にプレスをかけ、形を整えるためだけの工場です。

足の大きさや用途、素材に応じて、仕上げの足型が異なるのです。スチームを当てる前に、どの足型を使うか、幾つもの種類から最適な型を選び、最適な温度、時間をかけてプレスされます。

すべて職人の磨き上げてきた技術で最終仕上げになるのです。大きさ、用途、素材、デザイン・・・様々な要素を組み合わせる智恵が、仕上げ加工には必要になってくるからです。
靴下工場足型

タビオのお店「靴下屋」に入ったときの、専門店ならではの雰囲気、お気に入りを見つけるときの楽しさ、店舗のスタッフさんとの会話は、心が豊かになる瞬間です。

すごいことだな、と感じたのは、世界中にある「靴下屋」の店舗からの情報が、協力工場にダイレクトに届くということ。
だから、不要な在庫はタビオ本社にも、協力工場にも、店舗にも残らないようになっています。

必要なものを必要な時に、必要なだけつくることを、協力工場が自ら判断し、必要であれば意見も伝える。協力工場が、タビオと同じ呼吸をする関係性。これは、創業のころから、共に苦労をして築き上げた関係性が、タビオが上場企業になっても息づいているからなのだと、現地で目の当たりにしてきました。

“Made in Japan”の真の魅力は、実は目に見えない、生産に携わる一人一人の「使う人に喜んでもらいたい」という「誠心誠意」があるからであり、それが製品となって消費者の手元に、適正な価格で届くというところにあるのだと、気づきました。

tabio創業の誓い
tabio創業の誓い

同じく「ものづくり」を生業とする山陽製紙ですが、手漉きの紙をつくるように、昔からのマシンで、ゆっくりと丁寧に紙をつくっていきます。出来上がるまでの一つ一つの工程を、どれ一つ気を緩めることなく、「誠心誠意」誇りを持って磨き上げていきたいと思います。

この記事を書いたひと

原田千秋
原田千秋山陽製紙株式会社 専務取締役
広島県呉市出身

広島大学教育学部卒業後、同じ大学のマンドリンクラブで同期だった原田六次郎氏(現:山陽製紙株式会社 代表取締役社長)と結婚。
中学校の教員を経て、1992年、経理等を担当するため山陽製紙の社員となる。
瀬戸内海の島育ちにも関わらず、水泳もできない運動音痴。
耳元に広がる波の音や、山が黄金色に染まるみかん畑などが心の原風景。
山陽製紙(株)の経営ビジョン「地球の財産を生かし、自然と共に生きる永続企業」もその様な原風景が背景にある。