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crep デザイナーインタビュー vol.1(前編)

カテゴリー:Repepaコラム 投稿日:2021.08.30 / 最終更新日:2021.09.08
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執筆者RePePa

みなさまこんにちは。まだまだ暑さは続きますが、いかがおすごしでしょうか。 さて、今回は山陽製紙と関わってくださっているクリエイターの方々へのインタビューを通して、山陽製紙のものづくりや、ブランドを知ってもらおう!そんな企画です。 第一回目は“crep”の生みの親。デザイナーの福嶋賢二さんにお話を伺います。 前編・後編とボリュームたっぷりでお届けします!ぜひご覧ください。

福嶋賢二(ふくしまけんじ) 株式会社ソルトコ 代表取締役 / クリエイティブディレクター / デザイナー

1982年滋賀県生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒業後、スウェーデンHDK大学にてデザインを学ぶ。帰国後、IDKデザイン研究所に勤務、喜多俊之氏を師事。2018年クリエイティブスタジオ『ソルトコ』を設立。 『企業の強みを引き出す』をコンセプトに、ものづくり中小企業のブランディングからデザイン、企画に携わり、事業全体のクリエイティブディレクションおよびトータルデザインを得意とする。 作り手、使い手、伝え手の3つの「手」を繋ぐことを目的とした『ててて協働組合』ではクリエイティブ面を担当。

特注照明を手掛ける株式会社ワイ・エス・エムと福嶋氏の協業で生まれた「and-on」 伝統的な和紙を素材として用いるなど、モダンでありながら和の要素も取り入れたスタイリッシュなデザインが国内外で評価され、2021年には“デザイン界のオスカー賞”と呼ばれる「iF デザインアワード」を受賞。


──今日はどうぞよろしくお願いします。いきなりですが福嶋さんって、何者なんですか?!(どんなお仕事をしているの?
何者でしょうか…(笑) ざっくりデザイナーというカテゴリーでお伝えするとしたら「プロダクトデザイナー」ですが、対企業とお仕事する場合“デザインで新しい価値をつくる”ということを会社としてやらせてもらっています。各企業の課題や悩みに対応してアプローチの仕方も様々変わるのでプロダクトだけでなく、幅広く関わっています。 他にも、行政のプロポーザル(企画競争入札)に参加したり、講師として学校に赴いたりもしています。

──今現在進行中のお仕事のお話を伺うと、企業のロゴデザインやウェブサイトのディレクション、商品開発、会社のリブランディング等…本当に手がけられている領域が多岐に渡っています。
『and-on』の事例だと、プロダクトデザイナーの分野としてジョインした部分も大きいですが、そもそも建設会社や鉄道会社など、企業を顧客として事業をやっていた会社だったので、一般消費者向けにどう売っていくかというところが重要でした。製品のネーミングを考えたり、マーケティング的なところではクラウドファンディングで集客することから始まって、今では海外にも販路開拓しています。

──マーケティングまで!企業の悩みをデザインの力で解決していく福嶋さんの手腕に驚くばかりです。そして、山陽製紙も福嶋さんにものすごーーくお世話になっているのです。 山陽製紙とのお仕事が始まったきっかけを伺ってもよろしいですか?
2016年なので今から5年前くらいですね。当時山陽製紙さんはクレープ紙を使ったtoC(一般消費者)向け商品の開発に本格的に取り組みだしていたのですが、プロトタイプ注1: 御座シートというか、開発段階の商品の評判がおもわしくなかったようで……当時の営業担当の方がたまたま僕の実績を見てくれて電話をかけてきてくださって、そこで1時間くらいお話して(笑)

──ファーストコンタクトで、1時間ですか!
はい(笑) だけど電話だけでは現物も見ていないし理解に限界があるなということで、翌週には 実際にお会いしてお話を伺いました。 その後すぐに開発商品のモニタリングに参加すると聞いたので同行させてもらったのですが、出展したアイテムはテントや寝袋など、はじめてのtoCにしてはかなり攻めたアイテムで、値段も安くはなかったので、大阪のベテラン主婦の方々から滅多打ちに合っていました(笑) そこから何度か開発現場に立ち会わせて頂いて、本格的にお仕事することになったのが商品を展示会に出展する3週間前でした。

──3週間とタイトすぎるスケジュールですが…なぜ受けてくださったのでしょう?
社長と専務から電話がかかってきて、どうにかしてくれ!と言われてしまったからです(笑) というのは置いておいて、僕自身これまで紙の卸商さんとのお仕事もやっていて、興味のある分野でしたし、それに山陽製紙のクレープ紙は素材として特徴もあるし他社ではほぼ作っていないという強みもあるので、テントみたいな尖った製品は難しくとも、御座シートをスタートにしてうまくやれば消費者が「買いたい」と思えるプロダクトになるんじゃないかと。 まずはデザイン面とコスト面がうまく両立する仕様を考えていった形ですね。 スタンダードなデザインが得意だったのと、より幅広い層の方にアプローチできるよう、ラグのデザインはストライプなどペーシックなものからスタートしました。 crepのロゴは機械彫刻文字という工業用フォントを使用し、元々工業用品だったクレープ紙のエッセンスも忍ばせています。

──それを、たった3週間で…。当時の事情を知る社員が福嶋さんのことを「神」と呼ぶ理由がよくわかりました…! そして生まれたのがRepepaの人気商品でもある crepの『PICNIC RUG』 ピクニックラグとしての形やデザインはもちろん、周辺ツールも全て作成してくださっていますよね。展示会の際は、ブースのデザインも監修してくださっています。
そうですね、商品はサイズや色ごとにそれぞれ違うタグやパッケージ、初回の展示会までの3週間の間にはブースデザインもあり間に合わなかったのですが、その後カタログも作成しました。 また、crepはその後ピクニックラグだけではなくテーブルマットやテーブルランナー等色々な商品が派生していったので、そのパッケージングも手掛けました。今はデザインのフォーマットがあるのでいいのですが、crepが出来たばかりの時は全てイチからだったので、ボリューム的に少し大変でしたね。


crepの生みの親でもあり、その後の成長も見守ってくれている福嶋さん。山陽製紙になくてはならない存在というのがおわかりいただけたのではないでしょうか。 前編では福嶋さんについてや、山陽製紙との出会いからcrepが生まれるまでをお伺いしてきました。後編でもcrepのこと、サスティナブルのこと、更に新商品についてなど、福嶋さんからたくさんのエピソードをお伺いします!お楽しみに!
注1: 端材のアップサイクルを目指す社内コンペで選ばれたアイテム。 発案した社員宅では、絨毯(敷物)を壁にかけるという習慣があり、元は壁掛けの提案でした。敷物なら、敷いて使ってもらおうということで、レジャーシートとして販売したのが、crepのPICNIC RUGの前身となった「御座シート」でした

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RePePa

大阪にある小さな古い町工場、山陽製紙株式会社が運営する「紙と暮らすエシカルストア Repepa(リペパ)」です。 丈夫な工業用再生紙「crep paper」から生まれたピクニックラグ(レジャーシート)を始め、古紙をアップサイクルして生まれた再生紙雑貨を販売しています。

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