みなさまこんにちは。梅雨があっという間に明け、真夏のような暑さがつづく今日このごろ。いかがお過ごしでしょうか。
山陽製紙と関わってくださっているクリエイターの方々へのインタビューを通して、山陽製紙のものづくりや、ブランドを知ってもらう「デザイナーインタビュー」第二弾です!
今回は、ピクニックラグ「木漏れ日」をデザインした柔らかな感性を併せ持つクリエイティブユニット「bon.(凡)」のお二人にお話を伺いました。
※第一弾はこちら
・crep デザイナーインタビュー vol.1(前編)
・crep デザイナーインタビュー vol.1(後編)
クリエイティブユニットbon.
田村開(写真右)、瀧澤光(写真左)2名によるデザインユニット。
2022年発足。ギフトショー初出展 ベスト工場賞受賞
アルミ製お香立て「YOKOU」:Makuake 783% 達成
iF Design Award 2025 受賞
田村 開(たむら みらい)
クリエイティブユニットbon. デザイナー
神奈川県相模原市出身。東京造形大学 大学院卒業後、住宅設備メーカーに勤務。
その後デザイン事務所を経て、2022年クリエイティブユニットbon.を発足。
【個人受賞】
MUSABI Product Design Competition 2016 入選
PVC DESIGN AWARD 2016 優秀賞
NEWSED UPCYCLE DESIGN AWARD 2017 銅賞
瀧澤 光(たきざわ ひかる)
クリエイティブユニットbon. デザイナー
神奈川県南足柄市出身。東京造形大学 大学院卒業後、建材メーカーに勤務。
その後デザイン事務所を経て、2022年クリエイティブユニットbon.を発足。
【個人受賞】
bud brand 2021 佳作
ICS Design Award 2018 特別賞
NEWSED UPCYCLE DESIGN AWARD 2017 入選
─今日はどうぞよろしくお願いいたします!まずはユニット名の「bon.(凡)」の由来についてお伺いできますか?
(田村さん、瀧澤さん 以下敬称略)
ユニット名については1ヶ月くらい悩んで決めたんです。
私たちはデザインももちろん好きですが、自分たちが関わる製品を自分の友人や家族など、デザインを生業としていない、特にデザインが好き!というわけではない人にこそ使ってほしいという想いがあるんです。
僕たちは自分たち自身について、特別優れた才能があるわけではなく、めちゃくちゃ平凡だと思っています。でもその平凡なマインドがあるからこそいろんな人に届けられるのでは?平凡てもしかしたらすごい強みなんじゃ?
という事で凡(bon.)になりました。また、bonという単語ですが、海外では良い、優れた、美味しい、親切な、などの意味を持つ形容詞として使われていたりもします。それも踏まえて、ぴったりじゃん!としっくり来て、決めました。
──平凡だけど、良いもの。お二人のデザインスタンスが伝わってきますね!ユニット結成の経緯を教えてください。
(瀧澤)私たちは大学の同級生で、卒業してからはそれぞれに就職して建築デザインの世界に関わっていました。田村は現在もこのユニットと、企業勤めのサラリーマンと二足の草鞋で頑張っています。
bon.結成のきっかけは大学院卒業から3年後の2022年、「TOKYO MIDTOWN AWARD 2022 」への応募でした。
このデザインコンテストに参加するにあたり、私から田村に声をかけました。
二人で試行錯誤して「器になる個包装」を出品し、優秀賞を受賞しました。
ちなみにこのときのユニット名は「curry&humbarg(カレー&ハンバーグ)」でした。
──カレーとハンバーグ! ユニークなユニット名ですがその心は……
(瀧澤)とにかく、かっこよかったりひねりが効いているものは私たちのカラーではないな、という想いがずっとあって。bon.のデザインスタンスにも受け継がれているのですが、一部の人達に受けるものじゃなくて、できればみんなに受け入れられるものがいい。
そんな気持ちで、好物に挙げる人の多い「カレー」と「ハンバーグ」を名乗ったのを覚えています(笑)。
結果、授賞式のインタビューなどでも突っ込んでいただけたのでよかったです(笑)。
──そのようなデザインスタンスに至るには、お二人のバックグラウンドも深く関係しているのでしょうか。
(田村)思い返してみると、幼い頃からお絵描きや工作が好きで、お絵かき教室に通っていたりと、アートやデザインに触れる機会は多かったのかなと思います。
高校で進路を考えるにあたり、一度は一般大学を目指してしましたが、将来なにを仕事にしたいかを考えたときにデザインという仕事を知り、まずは美大を目指しました。
(瀧澤)私も幼い頃からものづくりが好きでした。実家の周りが自然豊かだったので、祖父が木でおもちゃを作ってくれてそれで遊んだり…
高校生の頃に進路を考えるときにプロダクトデザイナーという職業があると知って、美大を目指しました。実は私の母が美大出身で、すんなりと美大受験に舵を切ることができたと思います。
(田村、瀧澤)大学進学後は、大御所デザイナーから、身近な先輩デザイナーの作品までたくさんインプットすることを心がけて、また影響も受けましたね。
ただ、デザイナーから見て優れているデザインだと感じても、それが世の中に流通していない現実があると常々感じていました。
自分たちがプロダクトデザインをするにあたっては、多くの方の手元に届くものをつくりたいという想いを強くしたことを覚えています。
それが今の私たちのデザインスタイルに通じていると思います。
ピクニックラグ「木漏れ日」が生まれるまで
──山陽製紙とコラボすることになったきっかけと、ピクニックラグ「木漏れ日」のコンセプトや意図を教えてください。
(田村) ピクニックをしているときに、天気の良くない日や場所取りを失敗してなんだか快適じゃないなと思う経験がありました。お花見の時によく見るブルーシートの風景も変えられたらなと思っていて。
どんな環境でも心が気持ちよくなるようなプロダクトはできないかと考えていたときに、素材の魅力が柄と掛け合わさることでより相乗効果が得られるような親和性の高い素材はないかと調べてたどり着いたのが山陽製紙の再生紙のレジャーシートでした。
すぐに問い合わせをして、工場見学に大阪まで伺ってお話を聞くことができたのでありがたかったです。
──そこから、お二人の「木漏れ日」のプレゼンを受けて商品化に向けて動き出したのですよね。今回、当社の素材にデザインを施すうえでこだわった点や苦労した点はありますか?
(田村)普段はプロダクトデザインを軸に活動していますが、今回は「木漏れ日」のグラフィックデザインがメインになるのでそういった点でも苦労はありました。特に自然物のデザインということで、どのようにグラフィックに落とし込むか…本物の木漏れ日を観察し、イラスト調にするなど紆余曲折しながら現在の形に落ち着きました。微妙な濃度や配置によってはシミに見えたりもして、何度もデザインの微調整をしているときは本当に夢に見てしまうくらいでした。(笑)

──夢に見るほど!(笑)私たちも忌憚なく意見を伝えさせていただいたので、苦労されたことと思います…。
実は当初は現行の「PELP!クラフト(※1)」ではなく「crep paper(※2)」でデザインを進めていたのですよね。
(田村)そうですね。様々な色味をテストしていく中で紙の色が明るく発色の良い「PELP!クラフト」を使用することにしました。
木漏れ日柄の明るい部分(日の当たる部分)は印刷をせず紙の色を活かし、暗い部分(陰になる部分)は印刷をすることで、「PELP!クラフト」のもつ素材感をコントラストで引き立てるように意識しました。また、屋外での使用にあわせて細かくデザインをチューニングしています。
最終的にはインクコストといった現実的な面も考慮したうえで現在のデザイン・色味になりましたが、木漏れ日の爽やかさが再現できたと思います。
(※1)…山陽製紙のオフィス古紙回収サービス「PELP!(ペルプ)」によって生まれた再生紙「PELP! PAPER」を配合したクレープ紙。
(※2)…山陽製紙の工業用クレープ紙を素材として商品をつくる際の成分ブランド名。古紙を原料として、独特のシワから生まれる強度と伸縮性、紙としては珍しい耐水性も兼ね備えた高機能再生紙。
──「木漏れ日」柄はピクニックラグのメインシーズンでもある4月の発売直後に海外の方がSNSで取り上げてくださったことで反響を呼び、生産が追いつかないほどでした。こうしたデザインアイディアはどこから得ていますか?
(田村)私自身が日常で感じる「こうなったらいいのに」を実現するにはどうしたらいいんだろう?と素直に考えることがアイデアの起点になっています。ただアイデアを出そうと思っているときは思いつかず、お風呂に入っているときなどリラックスしているときに思い付くことが多いですね。
(瀧澤)私はどちらかというとコミュニケーションの中で思いつくことが多いです。
──先ほどお二人のデザインスタンスについても伺いましたが、あらためてデザインをするときに大切にしていることを教えてもらえますか?
(田村・瀧澤)「常に使う人を考える」ですね。その製品がその人の生活にどんなことをもたらしてくれるか、結局使わないものになってしまわないか、自分に嘘をつかずに考えられているかを常に考えています。
私たちはメーカーさんとものづくりをすることが多いので、「一緒に並走して創りあげる」ことも大切にしています。デザイナーやアイデアを出した人の独りよがりではなく、一緒にものを創りあげる仲間という意識でいることで、双方が気持ちよく進めることができると考えています。
一方で、メーカーさんがしたいことをそのまま肯定しないことも心がけていて。これは第三者的な視点で見たときにやりたいこと=市場における戦略や戦術として正しいのかを見極めることが大切だと思っているからです。
──今回bon.さんとのプロジェクトを通して、きちんとメーカーが売上を上げてプロダクトを永くつくり続けられるように考えてくださっていたのが印象的でした。今後の展望や挑戦したいプロジェクトがあれば教えてください。
(田村・瀧澤)日常に根付いた当たり前にある、気づいたら使っているスタンダードになるような商品を作りたいと思っています。デザインが良いだけではない、便利で、感覚的に暮らしに馴染むもの、ちょっと欲しくなるようなもので、多くの人がいいと思ってくれるようなものを作っていきたいですね。
山陽製紙さんが取り組んでいる資源循環についても、やはりどの案件でも興味関心が高まっているのを感じています。
現代において、モノは十分すぎるほど足りている中で、資源を浪費せずユーザーにとって本当に価値があるものを作りたいと考えています。
──今後のお二人の活躍がとても楽しみです!本日はどうもありがとうございました!
3時間ほど話し込んでしまった今回のインタビュー。
「日常に馴染む」bon.のデザインスタンスのように、デザイナーお二人の人柄も朗らかで自然体。時間を忘れて楽しくお話をさせていただきました。
実は「木漏れ日」柄の新たなプロダクトも進行中です!ご期待ください!
多数の案件を抱えるbon.ですが、随時案件は募集中とのこと。
bon.公式サイト
bon公式Instagram
bon公式X
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